二人の秘密。〜短編・学園LOVEstory①〜
放課後の教室で、
君を背中から抱きしめた日から、
君は学校に来ていない。
何気なく君の友人に聞いても、
誰も知らない。
先生も、体調が悪いようだとしか教えてくれない。
5日も休みだなんて、
おかしいと思う。
入院しているんじゃないのか。
授業も耳に入らない。
何も考えられない。
どうしたんだろう。
僕も、君も。
頭がおかしくなりそうなほど、
考えがまとまらない。
5日目の放課後の教室に、
僕は一人、君の席に座った。
空っぽの机の中。
君の存在を感じたい。
君の匂いを感じたい。
君の机に顔を埋めて、教室を見渡す。
君が居ないだけで、この教室は、
誰も居ない今の放課後の教室のままだ。
皆が勉強していても、
誰も居ない放課後の教室だ。
会いたい。
君の声が聞きたい。
夕焼けが、痛い。
僕の胸も痛い。
あれ?
足音が聞こえる。
最後のチャイムにはまだ時間があるのに、
先生はチャイムの後に見回りをするはずなのに。
忘れ物をした生徒かな・・・。
イヤだな・・・。
君の机から動きたくない・・・。
足音が
教室の前で止まった。
誰だろう・・・。
なんて言い訳しようかな・・・。
困ったな・・・。