二人の秘密。〜短編・学園LOVEstory①〜
静かだった。
何も聞こえなかったのかも知れない。
唇と唇が、接触して
唇から君の体温と、
僕の体温が
交換された。
ドキドキと、心臓が高鳴り、
唇から君に伝わってしまうような感覚。
一時間の長さが、僕に感じられた長さだった。
きっと3秒も経って居なかっただろう。
君のやわらかい唇と、
シャンプーの匂いと、
小さな吐息。
君はうつ向いたまま、机を見ていた。
僕は、前を向いたまま動けなかった。
オレンジ色の教室は、
少しずつ色を失っていく。
夕闇と混ざり会う時、
真っ赤な色に染まる。
放課後になる前まで、
皆と騒いでいた同じ教室とは思えない。
僕と、君がいるこの教室は
今までの教室でも
今までの放課後の教室でもない。
そして、最終のチャイムが鳴った。