二人の秘密。〜短編・学園LOVEstory①〜
「なんでキスをしようと思ったの。」
僕は君に聞いた。
好きな本の話の途中に僕は聞いた。
ささやかな僕の、
昨日の仕返しの積もりだった。
放課後の教室に、いつもと変わらず残っていた
僕達。
何事も無かったように、
いつもの会話が始まった。
その隙を見計らって聞いてみた。
君がなんて言うのか、
興味もあったから。
「してみたかったからだよ。」
君はそう言って、窓の外を見た。
「僕で良かったの?」
こんな事を言ってしまうとは思わなかった。
なぜ、こんな事が言えたのか、
自分でも不思議だった。
「意地悪な事を、言うんだね、君は。」
少し不機嫌そうに答えた君の横顔に、
僕はすごく
ドキドキした。
昨日のキスの時と同じ様に。
僕は立ち上がって、君のそばに近付いた。
そして君を、
背中から抱きしめた。