夏風邪
彼の名前は今でも覚えている。
仮にTとしておこう。

Tは体が悪く、バイトをしては辞め、就職をしては辞めを繰り返していた。

彼ともっと一緒に居たくなった私はバイトを始める

キャバクラ

初めて行くキャバクラは昔からそこにある老舗だった。

面接が怖くて前日にキャンセルの電話をしたのをよく覚えている。

「きっと大丈夫だから面接だけでもおいで、ダメな所があったらちゃんと教えるから」

優しい社長の言葉を今でも覚えている

簡単な面接をして、私の顔を見た社長は
「君をちゃんとしたキャバ嬢にしてあげるから、一緒に頑張ろう!」

その日は身支度を整えなさいと特別に2万円を支給された。

綺麗なドレスの綺麗な女性達を眺めながら浮かれて帰った。
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