ある日ある時ある場所で

しばらく状況が掴めず呆然としていた｡

すると部屋のドアが開き誰かが入ってきた…思わず声を出した｡

「父さん…」

僕が小学生の頃､職場で突然亡くなった父さんが入ってきたのだ！…が僕には目もくれない…まるで僕がいないかのように…


「優子…体の具合はどうだ？」

「えぇ､大丈夫よ｡アナタ…」

優子､父から聞いていた母の名前､二人は会話を続ける。


「優子､お腹の子供の名前決めたよ！健一にしようと思う！」

健一､僕の名前…あぁそうか､これは僕が産まれる前の､母と父の記憶なんだ｡
言葉では言い表せない､とても温かい気持ちでそのやり取りを見ていた僕は､父の次の言葉で現実に戻る…

「もう一人は愛梨にしようかなぁと思うんだけど…どうかな？男女の双子なんて珍しいよね～名前考えるのに一週間もかかちゃったよ」


「素敵な名前ね…健一に愛梨…二人とも無事に産まれてきてね？」


僕は…頭が真っ白になった…