意地悪なキミと恋をします。
「か、海斗!?」
「お前こんなとこでなにしてんだよ」
私服の海斗は性格抜きでかっこよくって一瞬見惚れた。
「あれ?おふたり、知り合いなの?」
「あぁ、同じ学校。ってゆーか、レズとか嘘だから。隆もいちいち間に受けてんじゃねーよ」
あちゃー、めっちゃ感じ悪い子じゃん私!
「海斗の友達さんって知らなくて、すいません、嘘ついちゃって…」
咄嗟に頭を下げて謝ると、隆くんはへらっと笑っていいよ〜と言ってくれた。
「ってゆーかあれなの?ふたり、そーゆー関係?」
「ちげーよ!」「ちがいます!」
隆くんが小指を立てて言うもんだから、ふたりとも声が被ってしまって、隆くんは大笑い。
「ハハハ!仲いいじゃん。はもっちゃって、息ぴったりじゃん!付き合っちゃえよ〜」
「いや、私には好きな人が…」
ぐいっ
急に手を引かれ、私は体のバランスを崩す。
「ごめん、莉奈ちゃん。待たせといて言うのもなんだけど、この人達だれ?」
寄りかかってしまった私を支えながら、優希先輩は海斗と隆くんをじっと見ている。
「クラスメイトの男の子とその友達ですよ!」
「ふーん…。じゃあ買い終わったし行こっか」
「はい!…じゃあ海斗と隆くん、またね!」
先輩はズンズン歩いてショッピングモールを出て行く。
「せ、せんぱいっ!速いです!」
「…」
「ちょ、まっ…うわっ!」
こ、こける!
そう思ったと同時に体がふわっと包まれて、さっきまでふんわり香っていた優希先輩の香りが、間近で濃く香る。
「ごめん」
謝ったっきりなにも話さず、ついでに私も離してくれない優希先輩。
い、一応人気ないからいいけどさ!
「…先輩?」
「…。あー…俺だっせー」
そう言うとバッと体を離して私の肩を持って向き合う形になる。
「かっこ悪いとこ見せちゃったね。正直に言う!俺、ヤキモチ妬いた!」
「へ…?ヤキモチ?」
優希先輩が?私なんかに?
「それも年下の男に対して!かっこ悪すぎ!」
「そ!そんなことないですよ!優希先輩はいつでも超かっこいいです!」
そして柔らかく笑うと、でも…と付け足し、
「年下とか関係ないくらい、誰にも取られたくないって思った。
…莉奈ちゃんが好き」
リナチャンガスキ…。
りなちゃんがすき…。
莉奈ちゃんが好き…!?
「…本気、ですか?」
新手の詐欺かと思ったけど、あまりにも真剣な先輩の目を見て、そんなこと言えなかった。
「本気。もしよかったら俺と付き合ってください」
ゆ、夢みたい…。
「…」
「莉奈ちゃん?大丈夫?」
完全にフリーズ中の私の前で優希先輩が手を振ると、ハッと現実に引き戻された。
「も!もちろんでございますです!」
変な日本語になるほどテンションが上がってた私の返事に、優希先輩はまたふわっと私を腕の中に閉じ込めた。