意地悪なキミと恋をします。




えへへへへー。


朝から昨日帰る間際に先輩がくれた猫のストラップを眺めながら、つい顔が緩みきってしまう。

本当は妹じゃなくて弟しかいないのに気使わせないように、嘘ついたんだって。




そんな私を愛莉は氷のような冷たい目で見る。



きっと他の女の子が知ったら嫉妬の嵐だろうから、愛莉にだけは事の経緯を話しておいた。






「愛莉…親友の喜びを共に分かち合おうよ!」




「きもい、却下」





ひどいっ!



「だいたい、あんた本当好きになったら周り見えないよね」




「そうかなぁ?」




かわいそうに…と付け足した愛莉だけど、教室のドアが開く音で、私には聞こえなかった。






「「あ〜!海斗〜!」





クラスの女の子達が海斗に駆け寄ると、いつものように退けといい、渋々離れていく女の子達。




「やっぱり…機嫌悪いわね」




愛莉の言う通り、女の子の波から見えた海斗の顔はこの上なく不機嫌で。




「やっぱり?まぁ確かにすんごーく不機嫌だよね」




いつもなら頭にチョップしながら挨拶してくれるのに、それもなかった。



チョップはなくてよかったけどね!












それからその日一日また呼ばれなくて、またお昼休みになった。





お弁当は作ってきたけど…



私には優希先輩がいるから、お昼はさすがに一緒はだめだよね…二人っきりだし。





それを言うのも兼ねて不機嫌な理由も聞こうと、海斗の席に向かう。





「海斗、今日なんでそんなに…」





私が言い終わる前に席を立ってさっさと教室を出て行く。






え。







「避けられてる…?」







< 20 / 32 >

この作品をシェア

pagetop