意地悪なキミと恋をします。
えへへへへー。
朝から昨日帰る間際に先輩がくれた猫のストラップを眺めながら、つい顔が緩みきってしまう。
本当は妹じゃなくて弟しかいないのに気使わせないように、嘘ついたんだって。
そんな私を愛莉は氷のような冷たい目で見る。
きっと他の女の子が知ったら嫉妬の嵐だろうから、愛莉にだけは事の経緯を話しておいた。
「愛莉…親友の喜びを共に分かち合おうよ!」
「きもい、却下」
ひどいっ!
「だいたい、あんた本当好きになったら周り見えないよね」
「そうかなぁ?」
かわいそうに…と付け足した愛莉だけど、教室のドアが開く音で、私には聞こえなかった。
「「あ〜!海斗〜!」
クラスの女の子達が海斗に駆け寄ると、いつものように退けといい、渋々離れていく女の子達。
「やっぱり…機嫌悪いわね」
愛莉の言う通り、女の子の波から見えた海斗の顔はこの上なく不機嫌で。
「やっぱり?まぁ確かにすんごーく不機嫌だよね」
いつもなら頭にチョップしながら挨拶してくれるのに、それもなかった。
チョップはなくてよかったけどね!
それからその日一日また呼ばれなくて、またお昼休みになった。
お弁当は作ってきたけど…
私には優希先輩がいるから、お昼はさすがに一緒はだめだよね…二人っきりだし。
それを言うのも兼ねて不機嫌な理由も聞こうと、海斗の席に向かう。
「海斗、今日なんでそんなに…」
私が言い終わる前に席を立ってさっさと教室を出て行く。
え。
「避けられてる…?」