意地悪なキミと恋をします。
それから数日経って、私は気まずくて声をかけられもせず、海斗からもなにも話してこず、少しずつそれが当たり前になっていっていた。
私は優希先輩とたまにこっそり一緒に帰ったり、電話をしたり、デートをしたり、充実した毎日を送っていた。
「莉奈…ちょっと聞いたんだけどさ…」
ある日愛莉がやけに真剣な顔で、海斗のことで聞いた噂を教えてくれた。
「まぁ、上の先輩に聞いただけだから、なんとも言えないけど…」
「うそ。あの海斗が放課後、毎日違う女の子といるって…」
「実は私も一回だけ女の子と歩いてるのは見たことあるの。彼女できたんだくらいにしか思ってなかったんだけど…」
と、そこで先生が入ってきて、朝のホームルームが始まった。
まさか、あの女嫌いそうな海斗が…?
しかも毎日違う女の子って…。
どうしたんだろう。何かあったのかな…。
気になる思いは募る一方だったけど、いざ話しかけようとするとやっぱり気まずくて、もうすぐ1日が終わろうとしていた。
「皐月さんって子いるー?」
放課後前の休み時間、3年の先輩であろう人が教室に来て、私の名前を呼ぶ。
なんだあの女、知らないんだけど。
化粧もケバいし、金髪の髪汚いし、古いっつーの。
「私ですけど、なんですか?」
「あー、あんたね。ちょっと放課後遊ばない?」
「なんで先輩達と遊ばなきゃいけないんですか?」
威圧的な目で見てくる女にむかついて、わざと生意気なことを言った。
すると余裕の笑みで私の耳元に顔を近づけ、
「こないと、学校の女子全員にあんたの秘密ばらすわよ」
「秘密?」
んー、秘密…ひみつひみつひみつ…
もしかして、優希先輩のこと?
「あー、わかりました。じゃあ遊びましょ」
「わかればいいのよ。放課後迎えに来るから」
じゃあと言って去っていく女の後ろ姿に向かって中指を立てる。
「この年増!香水臭いんだよ、おばさん!」
と、心の中で思った。