意地悪なキミと恋をします。
「ちょ、ちょっとまってよ!」
ああん?とでもつきそうなくらい不機嫌な2人の顔が一斉に私を向く。
「私は!優希先輩と付き合ってるし!奪うとか渡さないとか、物騒なこと物騒な顔で言い合ってないで、仲良くしよ!ね!」
「「莉奈は黙ってろ」」
2人の声が重なる。
ぷっと吹き出しそうになるのをぐっとこらえて、もう少し2人を見守る。
「先輩だけには負けないっす」
「俺も君にだけは負けないよ」
「まぁ先輩にそれだけ言えたんで、今日は帰ります」
「さっさと帰れば?」
じゃあまた明日なと海斗が去って、シンとした空気が私と優希先輩を包む。
「あの様子じゃ莉奈ちゃんにも告白とかしてるんでしょ」
「あ…はい、今日…」
ひえぇ、先輩……こわい…!!
「今日なら仕方ないけどさ…言ってくれなきゃ」
「ご、ごめんな、さぃ…」
確かに逆の立場ならそういうことは言って欲しい。
シュンとしていると、ぎゅっと力強く抱きしめられて。
「俺さ……莉奈ちゃんのことに関しては、ほんと余裕ないんだよね」
表情は見えないけど、その声はすごく弱くて微かに震えてて、思わず抱きしめ返した。
「すぐに言わなくてすいません…。不安にさせて、すいません…」
「ごめんね…カッコ悪くって」
「そんなことないです。先輩はかっこいいです」
そういうと抱きしめる力が少し強くなって、
「莉奈ちゃん……好き」
「私も大好きです」