意地悪なキミと恋をします。
放課後、
学校での噂も消えてないだろうし、なんだか誰とも顔を合わせたくなくて、保健室で時間をずらして誰もいない時間に帰ることにした。
「私、迷走しすぎじゃん」
薄く赤みがかかっている空を見上げると、何もかも忘れられる気がして、ぽーっとしばらくの間プチ現実逃避。
私は優希先輩が好き。
ずっと憧れてて、奇跡的に付き合えたんだし、これ以上の幸せなんてないよね。
なのに、いつも頭のどこかにいる男の子。
ムカつくことしか言わないのに、なんでだか、たまに見せる優しさに胸が高鳴る男の子。
時折、無邪気な笑顔を向ける男の子。
「っ、ぶねー」
ぶつかったその人は、見覚えのある姿カッコ。
「んだよ、莉奈かよ」
「雅人……」
私の目の前にはさっきまで浮かんでいた海斗の笑顔をかき消して、大嫌いな雅人の顔があった。
「んだよ、ぶつかっといてそんな顔してんじゃねーよ、ちゃんと前見ろよノロマ」
「あ……え、と…ご、ごめん」
「ったく、ほんとお前は俺の邪魔しかしねーよな」
次々と浴びせられる棘のある言葉に、嫌でも昔のことを思い出してしまう。
『浮気したくらいで騒いでんじゃねーよ、嫌なら浮気されないような女になれよ』
『あー、うぜー。顔も見たくねー。ちょっと消えててくんね?』
嫌でも、涙がこぼれてしまう。