意地悪なキミと恋をします。
それからというもの、とりあえず愛莉に優希先輩の彼女になる宣言をして、今日に至るというわけだ。
特に進展もなく。
だけど、自動販売機の前で誰もいない時とか、帰りに会った時とか、声をかけてくれるし、今日みたいに近くを通ったら私に目を向けてくれる…ような気がする。
えへへ、自惚れるにもほどがあるって?
だって、そう思いたいんだもん!
「あ、いるわよ莉奈」
そんなわけないない!
まっさかぁという顔で優希先輩を探す。
3年生は来週からのはずなのに…
「あ!優希先輩だ!」
「うそつかないわよ」
愛莉によると優希先輩を見ている私は、ご主人様を見つけた犬のごとく尻尾を振っているらしい。
「こっちむいてくれないかなぁ〜」
ってゆーか、なにしてんだろ?
優希先輩は体育館の裏にあるトイレに行ったのであろう。
体育館の陰に隠れて、しばらくするとまた出てきた。
あ、今こっち見た。
「こっち見たねイケメン先輩」
「え!?いや、た、たぶん!!なんかやってんなぁ〜って感じで見たんでしょ!わ、わ、私を見ただなんてそんな!あるわけないじゃん!」
「いや、あんたを見たとは言ってないんだけど」
あちゃ〜。穴があったら入りたい。
なに自意識過剰になってんのよ自分!
顔を手のひらで覆って、キャーなんてやってるうちに、優希先輩はもう見えなくなっていた。
「コラーーー!皐月!やる気あんのかやる気ー!!ただでさえ時間ないってのに、お前だけ何にも終わってねーぞ!ちくしょー!」
先生の激怒のお言葉で体育を再開し、私は見事補習を勝ち取ったのだ!いぇーい!