意地悪なキミと恋をします。
「んじゃ、先帰るわね。あたし彼氏とデートだから」
その日の放課後、そう言って手をひらひらさせながら愛莉は早々に教室を出て行った。
「この幸せ者めー!裏切り者ー!楽しんできなよー!ちくしょー!」
もう見えないけど、聞こえる距離であろう愛莉に着替えながら叫ぶ。
いいなぁ〜。
もう今年で5年になるんだよね〜。
中1くらいに付き合いだして、今もずっと続いてる愛莉達。私も知ってる人だけど、彼氏は愛莉の隣の家の2個上の先輩。
またその人が優しくってかっこよくってもうやばいのなんの!
愛莉は私より少し暗めの茶髪をふんわりパーマをあてたボブで、顔はザ美人!って感じ。
彼氏さんと並ぶと美男美女なんだよね〜。
ってゆーか愛莉のやつめ!
私がポケーットしてる間に自分はしっかりスポーツテスト受けてやんの!
気づいてるんなら声くらいかけてよ〜!
「…さっきからそんなブツブツ言って、補習いかねーの?」
だ、だ、だ、だ、誰!?男の子いたの!?
ってゆーか、声に出てたの?
誰もいないから教室で着替えろって言われたから着替えてたんだけど、今まで誰もいなかったよ!?
ってか今も誰もいないよ!?
「だ、だれ?で、すか??」
思いっきり挙動不審。
「いいから早く出てこいよ」
「…は、はい!」
誰かわからない恐怖に、ドアの前で深呼吸して、そっとドアを開ける。