世界を変えるために
 平和条約がなくなって1ヶ月が過ぎた。
 俺等が普通に過ごしている時に防衛省の奴等は、自衛隊と言う兵隊を次々に作っていっている。
 また、70年前みたいな悪夢が起こりそうだ。

「ねぇ永遠」

 学校の帰りに寄り道してワイワイやっていると唯が急に真面目な顔をして言った。

「何?」

「戦争始まるのかな?」

 何も考えてなさそうな唯も考えてたんだ。
 やっぱり戦争って聞いて良いと思う奴なんていないよな。

「分からない」

 自衛隊を大量に作っているから始まりそうだけど、はっきりとは俺にも分からない。

「何でかな?
私何回も調べたけど分からないよ
何で戦争するの?
政治家にとって70年前の事はどうなっているの?」

 唯は涙目になって、俺に聞いてきた。
 唯が戦争と言う言葉に敏感になっても無理はない。

 唯の祖母は戦争経験者だ。
 祖父は戦争中に祖母を庇って死んだらしい。
 その祖母がたまに祖父の名を呼んだり、戦争を止めてくれと唸るらしい。
 大好きな祖母が大嫌いな戦争が始まるなんて唯も嫌でたまらないだろう。

「戦争なんてして何が楽しいの?
何で罪のない私達が殺されるの?
ねぇ!教えてよ永遠!」

「俺も戦争をする事に賛成なんてしない。
でも、俺等がいくらもがいた所で、お偉い人達には聞こえない。届かない。」

「そんな大人皆いなくなればいいのに!」

 唯はひと粒の涙を零して叫んだ。


 唯の気持ちは嫌っていう程分かる。
 けど俺は何も出来ない…。


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