片道のRe:
埼玉県のとある田舎町を出て、早4年と半年が経つ。
東京の大学に通い、東京の空気を吸って、東京の色に染まった。

すっかり地元に対して消極的になってしまった私にとって、SNSは私と地元を繋ぎ止める唯一の存在と言ってもいい。


「……ん?」


『あなたの友人かも?』の欄に表示された、一人の男性の名前。
目にした瞬間、ぼんやりとした眠気が吹き飛んだ。


「タケト先輩……!?」


勢い良く上体を起こすと、スプリングが鈍い音を立てた。
見開いた目をスマホに寄せ、興奮で震える指でその名前をタップする。


表示されたプロフィール写真は、青色のマウンテンバイク。
プロフィールデータを開いてみると、出身地の項目には私の地元の名前が記されていた。


――間違いない。

城崎 岳人(シロサキ タケト)先輩だ。

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