片道のRe:
『即席駅伝部』は今年も順調に勝ち進み、男女共に県大会に出場した。

朝10時。
乾いた空に放たれたピストル音。


「リノ、ファイトー!!」


女子のレースが始まった。

カラフルな群衆に埋もれるリノに、周りに負けじとエールを飛ばす。
63のチームが参加する県大会は、熱気もまた格別だ。


上位に食い込むチームは皆、この日のために全てを掛けて、練習に励んできた猛者たちばかり。
所詮、即席な私たちの力が敵わないことなど、誰に言われずとも分かっている。


「リノー! ラストファイトー!」


それでも私たちは、走る。


「リノ! ナイスファイト!」

「ご、ごめ……順位、全然した……」

「じゅーぶん! 後はうちらに任せて!」

「ん……ワカ、頼むよ……!」


どうせ負けるのだから、頑張る理由など、本当はないのかもしれない。

けれど私たちには、頑張らない理由もない。
希望の捨て方も知らない。

ただ、渡されたたすきを繋ぐために、がむしゃらに走る。

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