片道のRe:
「ワカ!!」


ゴールで待っていてくれたリノが、目に涙をたっぷり溜めて駆け寄ってきた。


「すごいよ! 12人抜きだって!」

「……へ?」

「ワカァァ!!」


大きく揺れる私の肩を、リノはぎゅっと抱き締める。
足りない酸素が悪さをして、一向に思考が回らない。

……12人?
嘘だ。絶対にそんなに抜いていない。

私が憶えているのは、赤と黄と紺の背中と。

視界の、右端の――……


「……うッ」

「ワカ?」

「う、うわぁぁぁん!」


先輩が、待っていてくれた。

残り500m。
一番辛い、あの場面で、私にエールを送ってくれた。


「せんぱッ……先輩、がッ……!」

「え、タケトのこと?」

「うわぁぁぁん!」

「と、とりあえずあっち行こ!」


泣きじゃくる私が落ち着くまで、リノはずっと、背中をさすってくれていた。

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