片道のRe:
どうしてこんなに泣いたのか、自分でもよく分からない。

そして冷静になって考えてみれば、先輩があそこにいたのは次に控えた自分のレースのアップを取る為で、私はタイミング良くそこを通りがかったに過ぎないのだろう。

大泣きした後は、どっと恥ずかしさに苛まれた。

気が付けば女子のアンカー、第五走者の順まで回っている。

付き合わせてしまったリノに慌てて頭を下げると、「いいよ」と笑いながら、私の腕を取って立ち上がった。


「さ、アンカー応援しに行くよ! それから男子の応援も残ってんだからね!」


煩いほどの逆光に照らされているのに、翳った笑顔は何故か眩しい。


「……そうだね、行こうっ!」


あぁ、やっぱりいとこなんだなと、こんな時なのに笑ってしまった。


終わってみれば、女子の結果は63チーム中40位。
男子も振るわず、63チーム中37位に終わった。

しかし私は第三区走者の中で、3位というまさかの成績を残し、後日学校で表彰された。

タイムを見て驚いた。
恐らく一生で一度きりしか出せない、奇跡の記録だと自分でも思う。

何が私を突き動かしたのかは分からない。
けれどこれで少しだけ、去年6月のリベンジが出来た気がした。

私の頑張っている姿は、先輩の心に少しでも留まってくれただろうか。

< 49 / 73 >

この作品をシェア

pagetop