片道のRe:
結局、私は最後の最後まで、何も出来なかった。

お世話になったテニス部の先輩に挨拶に行った時、すぐ隣では先輩とオグが談笑をしていた。

話しかけようと思えば、話しかけられる距離であったのに、私は「ボタンください」の一言さえも言えなかった。

そしてまた後悔を胸に、私は一人ベランダに立ち、頭ひとつ出た後ろ姿を眺めている。


「おい」


振り向いた先には、今日も眉間に太い眉を寄せ、仁王立ちをするオグの姿。


「……なに」

「どーせお前、先輩から何ももらえなかったんだろ」

「分かってるなら話しかけないでよ……」


オグの憎まれ口も、今日に限っては跳ね返す気力もない。

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