片道のRe:
その夜、私は先輩にメールを送った。
名札のお礼と、受験の成功と、卒業を祝う意をこれでもかと詰め込んで。

そしてメールの最後には、『絶対に関東大会にいきます。報告待っててください』と記し、自分への戒めともした。


そして私は3年となり、中学最後の大会を迎えた。

順調に県大会まで駒を進め、個人戦ベスト16まで勝ち上がった。
次の試合に勝てば、関東大会進出が決まる。

夢見た舞台は、もう手の届くところにある。

先輩との約束を果たす為、私は何としてでも勝たなければならなかった。


――結果、ファイナルセットの末に敗れる。

夢は蜃気楼に溶けて消え、全てを掛けた私の夏は幕を閉じた。

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