片道のRe:
まずはお互いの近況報告から始まり、続いて私の同棲中の彼氏の話、となればリノの恋話へと発展していく。

温かなオレンジの光の中で、美味しいパスタとワインに舌鼓を打ちながら、ガールズトークに花を咲かせる。


「ワカってば高校に入った途端、集まりに参加しなくなったよね。しかも高校卒業と同時に地元を出たって人づてに聞いた時はビックリしたよ」

「んー、そうだねぇ……」


今となっては時効なので、私はリノに本当のところを打ち明けることにした。


私は、過去と決別したかった節がある。

逃げて、泣いて、負けてばかりだった中学の頃の自分が大嫌いだった。

あの頃の私は、私なりに一生懸命頑張っていたつもりだった。
しかしいざ部活を引退し、後ろを振り返ってみれば、そこには何の痕跡も残っていなかった。


私は女を捨ててまで、一体何の為に頑張っていたのだろうか。
そう思ったら、すぐにでも『おとこ女』の自分を切り捨ててしまいたかった。

そして高校に入学したら、今度こそ『おんな女』になるのだと、心に決めていた。

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