★MyHomeの秘密★♪



足音で凌兄があたしの真横くらいに来た時、靴の音が止まった。

反射的にビクッとした。



だけど。

凌兄は普通に歩き出した。
その時には、靴の音に混じって車のキーの揺れる金属音が一緒に聞こえるようになって。


「行くぞ」


そう一言、発した。



あたしは返事も返せずに、つぶっていた目を開けて、落ちそうな涙だけ手で拭き取って、
車の方へと小走りで歩いた。




バタンッ



車のドアの音が、いつもより耳に鈍い音で届いた気がして。


代わりにあたしは静かに閉めた。音がなるべくたたないように。



< 126 / 587 >

この作品をシェア

pagetop