★MyHomeの秘密★♪
あたしは数秒固まっていた。
そのあと我に帰って、さっと立ち上がた。
その気配に気付いたのか、少し驚いたように凌兄がこっちに顔を向けた。
やばい…
目が合ってしまって言い訳に困った。
「じ、辞書っ、借りていい?」
とっさに出たのは、これだった。
あたしは馬鹿だ…
凌兄は思いきり不審な顔をして、珍しいものを見るように眉を潜めた。
「――本当に使うのか?」
ムカつくほどわかられている。
それは嬉しいような、虚しいような…。
もちろん、あたしが使うわけがない。あんな細かい字、見ているだけで頭がグルグルしてくる。
「…う、うんっ!もちろんっ!じゃ、借りてくねっ!!」
このまま話していては、墓穴を掘る。
そしてなにより、この部屋から脱出したかった。
あたしは足だけを一生懸命動かし、そこから出た。