春風に包まれて
そんな俺を気にせず女は質問してきた。
『楽しくないのは何で?』
そう聞かれた俺は過去の事を話した。
すると女は
『変なの!』と言って考え込んだ。
『変?』
俺が聞くと女は
『うん…だって、過去の事なんて仕方ないじゃん!人を殺したりしたなら変な目で見られて当たり前だけど
そうじゃないなら今を楽しめばいいじゃん!』
と笑った。
だけど、その笑顔はどこか淋しそうだった。
『そろそろ教室に戻ろう!』
女はそう言って立ち上がった。
そして
『気が向いたら教室来てね!
待ってるから!』と笑って去っていった。
俺は人と話したのは凄く久しぶりで
心の奥が凄く温かかった。
あの女は俺の事を変な目で見たりしなかった。
たったそれだけの事が凄く嬉しかった。
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