掌
「よっしゃー食おうぜ!!」
ベッドから飛び起きた健太君のバカ明るい声が、重い空気を打ち破った。
こいつは………
でも今だけは、空気の読めない健太君に、少し感謝した。
「あっこのチョコ!俺好きなんだけど!」
池内君があたし達の買ってきた袋の中から、スティックのチョコを取り出した。
「それね〜歩が池内君に、って選んだんだよ。」
真奈美が、ニヤニヤあたしを横目に見ながら、嬉しそうに言った。
「マジで!」
「メールで好きって言ってたから…」
「うん!超好き。ありがと!」
ニカッと、いつもの笑顔をあたしに向けた。
あたしは……
自分の心臓の音を、抑えるのに必死だった。