掌
ドシンッ!
「うぅ…っ」
達也の部屋に入り、強く押されて畳の上に倒れた。
「俺が部活で必死こいてるときに…お前は楽しく遊んでたのかよ!!」
「ごめん…ごめん達也……」
小さくうずくまるあたし。
こうすれば、殴られてもあんまり痛くないから……
こんな防御方法が身についちゃった自分が、悲しい。
「俺といても楽しくないから…だから、他の奴と遊ぶんだろ?!」
ちがう……ちがうよ…達也……
「なんとか言えよ!!」
縮こまるあたしを無理やり立たせて、壁に押された。
ドンッ
「痛…っ!」
ドサッ
壁に押された衝撃で、あたしの持っていたカバンが落ちて、中身が散らばった。
そして、達也があたしの携帯を拾う。
「こんなんも……本当は嫌なんだろ?!」
達也とのおそろいのストラップ。
「嫌じゃないよ…大事だよ…ユキちゃんと遊んだのだって、たまたま誘われて…たまにはって思って………」
達也の顔が、さらに険しくなった。