掌
「たまには……?」
しまった…また誤解される…。
「俺と毎日会うのが、そんなに苦痛だったのかよ!」
「違う、達也…聞いて……」
「うるせぇ!これだって……」
達也は力いっぱい、握りしめている物を引っ張った。
「いやっ!やめ……」
ブツンッ
小さく、紐が切れる音がして……
あたしの宝物が、白い携帯から離れた。
「嫌々つけてたんだろ?!」
そして、あたしの携帯をあたしに投げつける。
頭に当たったけど、あたしは、達也がゴミ箱に放った物で、頭がいっぱいで…
痛みなんて感じない。
痛くなんてないのに、目から涙が溢れ出た。
「でてけ!」
そう言って、ベッドに座る達也。
あたしは、ゴミ箱にすがるようにして探した。
あたしの宝物。
あたしの幸せが、形となった物……。
涙で視界がぼやけて、なかなか見つけだせない。
「ひっく、ど…こ?…どこ…?うっぅ…どこ……」
これは、二人のおそろいで…初めてのおそろいで…
これをつけた日、初めて一つになって…
幸せで……
ゴミ箱から出てきたストラップは、足が折れてた。
壊れた宝物を握り締めて、すすり泣くあたしに、顔を背けたままの達也。