掌
ガタンゴトン…
いつものように、地元の駅へ向かう電車に、一人で乗る。
夕日が車内を射す、ガラガラの電車は、どこかもの悲しい。
一人座って、放心状態のあたしに、誰かが声をかけてきた。
「…歩ちゃん…?」
久しぶりに聞く声。
「……健太君……」
たくさん空いた席の中で、あたしの隣に座った。
久しぶりに見る健太君は、相変わらずオシャレで、髪も格好よくセットされてた。
けど、いつもある余裕さが、夕日でオレンジ色に染まった健太君の横顔には、なかった。