掌
真奈美は、教えてくれたのに……。
あたしがこんな思いをする前に、離れるようにと、強く言ってくれたのに……。
あたしは、達也との思い出が忘れられなくて
頭の中にしかいない、昔の優しい達也の姿にすがってて
懸命な真奈美を、冷たく突き放した………。
そうして今
やっと真奈美の言ってた事を理解し、さらに言葉にする事で
今の達也に対する気持ちを、理解した。
そんなあたしに
真奈美は
「大丈夫…私が守るよ…。」
そう一言、言うだけだった。
ずっと認めなかったあたしを責める仕草も
呆れる仕草も見せず
ただただ、泣きじゃくるあたしの背中をさすってくれた。
「ごめんね真奈美……あたし、本当に馬鹿だね……ごめんね……」
涙は枯れる事なく溢れでて、あたしの親友がそれを受けとめてくれる………。