気付いたら走りだしてた。



慣れた手付きで切符を買い、何回も乗った事のある電車に乗り込んだ。



あたし…何してるんだろ?
きっとまた…殴られるよ?




吊り革を持つ手は震えるし、窓に映る自分は、冷や汗でじっとりしている。



怖い……怖いよ……。

けど行かなきゃ
会わなきゃ



ううん…会いたい。

達也に会いたい。



恐怖で、壊れそうなほどに脈打つ心臓の鼓動の中には


高鳴りもあった。




< 166 / 216 >

この作品をシェア

pagetop