「かんぱーい!!」


一人一本チューハイを持って、コツンコツンと缶を当てる。


飲んではいけない物を飲む罪の意識と、初めて大人の物に手を出す好奇心で、目の前の白桃味のチューハイが輝かしく見える。


そして、あたしは勢いよく缶を開けた。


プシュッと音と共に、口に流れ込んだ痺れるような炭酸が舌を刺激し、アルコールの少し苦い味が広がった。




30分後…………



「田辺歩っ歌いま〜すっ!!」


「いえーいっ!!」


顔を真っ赤にして、健太君とあたしは、歌い踊る。


「チューハイ二本でなんでそうなるの?」


「二人共おもしれぇ〜」

真奈美と池内君は平然と、ハイテンションのあたし達を見つめている。



「真奈ーっ愛してるー!!」


「はいはい」


健太君が真奈美に抱きついていく。


あたしは、かまわず熱唱。



「あーぁ。お前らも早くくっつけよなぁ〜」


健太君が、真奈美にくっつきながら言う。


「せっかく俺が達也のために、お菓子パーティー開いてやったのに!」


菓子なんて食えないのにさー!と叫びながら、軽く爆弾発言。


「どゆ事?」


真奈美は、意味が分からない、というような口調で聞き返した。


「だーかーらー」


「おいっ!!健太!!黙れ!!」


池内君は顔を赤くして、健太君の口を塞ごうとする。






「達也は、歩ちゃんが好きなんだってぇ〜!」



遅かった。



池内君が、黙らせたかったであろう事を、健太君は大きな声で発表。


池内君は……



ベッドに倒れこんだ。



< 17 / 216 >

この作品をシェア

pagetop