掌
「かんぱーい!!」
一人一本チューハイを持って、コツンコツンと缶を当てる。
飲んではいけない物を飲む罪の意識と、初めて大人の物に手を出す好奇心で、目の前の白桃味のチューハイが輝かしく見える。
そして、あたしは勢いよく缶を開けた。
プシュッと音と共に、口に流れ込んだ痺れるような炭酸が舌を刺激し、アルコールの少し苦い味が広がった。
30分後…………
「田辺歩っ歌いま〜すっ!!」
「いえーいっ!!」
顔を真っ赤にして、健太君とあたしは、歌い踊る。
「チューハイ二本でなんでそうなるの?」
「二人共おもしれぇ〜」
真奈美と池内君は平然と、ハイテンションのあたし達を見つめている。
「真奈ーっ愛してるー!!」
「はいはい」
健太君が真奈美に抱きついていく。
あたしは、かまわず熱唱。
「あーぁ。お前らも早くくっつけよなぁ〜」
健太君が、真奈美にくっつきながら言う。
「せっかく俺が達也のために、お菓子パーティー開いてやったのに!」
菓子なんて食えないのにさー!と叫びながら、軽く爆弾発言。
「どゆ事?」
真奈美は、意味が分からない、というような口調で聞き返した。
「だーかーらー」
「おいっ!!健太!!黙れ!!」
池内君は顔を赤くして、健太君の口を塞ごうとする。
が
「達也は、歩ちゃんが好きなんだってぇ〜!」
遅かった。
池内君が、黙らせたかったであろう事を、健太君は大きな声で発表。
池内君は……
ベッドに倒れこんだ。