掌
「わかんねぇよ俺…好きなら、一緒にいるんじゃねぇの…?!」
首に巻き付く大きな掌に、少しずつ力が入っていく………。
「達……苦し…いよ……」
ギリギリと首が絞まっていくのが自分でも分かる。
空気が体の中に入らなくて、口が乾く。
でも、なんか冷静だ。
「歩が他の奴にとられるくらいなら………っ」
達也の涙がこぼれる目は、あたしを通り越して、どこか遠くを見ていた。
「ぁ…っ……く……」
息ができない。
頭がぼーっとしてくる。
でも……大好きな達也の掌なら……あたし死んじゃってもいいかな………。
なんて考えてた。
気が遠くなっていく……。
達……也…────────。