掌
第九章 真奈美。
私の1年からの親友に、彼氏ができた。
「幸せだよぉ〜。」
教室で、窓際の自分の机に突っ伏して、その親友が急に呟いた。
「はいはい!」
世話の焼ける親友、歩はへへへと笑っている。
いつも明るくて…寂しがり屋で甘えん坊な歩。
いつもまとわりついてきてたのに、達也君と付き合ってから、私は捨てられてしまった。
遊ぶ回数も一緒に帰る回数も減って、少し寂しいけど、歩の幸せそうな顔を見ると、私もなぜか幸せな気分になる。
歩はすごいよ。
周りの雰囲気を変える力がある。
だから、歩の笑顔は私が守らなきゃね。
いや…その役目は達也君になったのかな?
ちぇ。