掌
歩は、嬉しそうに達也君と一緒に電車を降りていった。
電車に取り残された私と健太。
「い〜な〜歩ちゃん。」
健太が、私をチラチラ見ながら、ぶつぶつ言ってる。
「俺も〜遊びに誘ってくれないかなぁ〜?」
あぁ…私の家に来たいのか。
なんか健太が可愛くて、ふふっと笑ってしまった。
私の部屋に入ると、健太が甘えてくる。
「真奈ぁ〜♪」
甘えてくる健太を受けとめながら、歩と達也君の事を考えてた。
「達也君も歩の前じゃ甘えるのかなぁ?」
知らねぇという健太に気にせず、私は続ける。
「どんなに仲良くても、ケンカするときはするんだよねぇ……」
でも、殴るなんて、尋常じゃないよ。
悶々と考える私に、健太は呟いた。
「最近の真奈……歩ちゃんの事ばっかだな。」
確かに、私は最近歩と達也君の事ばかり考えている。
あの二人が心配だから…。