掌
9月1日
今日から新学期。
ため息をついて、教室の扉を開けた。
賑やかなクラス内。だけど、窓際で一人、マイナスの空気を纏う歩がいた。
その空気に引き寄せられるように、1ヶ月ぶりくらいに歩に話しかけた。
やっぱり、マイナスの空気にマイナスの空気が交わっても、マイナスになるだけで、重い空気が漂う。
そんな空気を少しでも減らすために、窓を開けた。
久しぶりに見る空には、小さくちぎれた雲がたくさん漂い、いつの間にか夏の空ではなくなっていた。
「今夜クラス会やるから、来てね〜!」
ケバケバしくなったゆきちゃんが、私と、明らかに戸惑っている歩を無理やり参加メンバーにして、プラスの空気の中に戻っていった。
歩は、寂しそうだった。自由を奪われても尚、達也君の側にいたい理由は何?