縮こまった歩に、かぶさるようにして抱きついた。
土まみれの震える背中が、私の腕に力をいれる。


「どいて。真奈美ちゃん。」


上から見下す、凍り付くような声の達也君。私を歩から離そうと、私の肩に手をかける。



どかない。どんなに殴られたってどくもんか。


私は、あんたが歩を守っていくと信じてたのに……私に守らしてどうすんのさ。
あんたが、歩の心も体も傷つけて、どうすんのさ。





「ありがとう。」


そんな顔になっても、笑顔をつくろうとする、そんな歩に、私は涙が止まらない。

人前では絶対泣かないようにしてたのに。






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