掌
♪♪〜♪♪〜♪♪
久しぶりの着うたが、鳴った。
リビングのテレビで月9を見ていた私は、携帯の通話ボタンを押して、自分の部屋に入っていった。
「もしもし健太?どしたの?」
私の携帯を鳴らしたのは、健太だった。
電話の向こうは、外にいるのか、車の走ってる音がうるさくて、健太の声が聞き取りにくい。
「……はぁっ…は…っ真奈、家?」
息が荒く、走ってるみたいだった。
「家だけど……。」
「…今から、出てこれる…っ?!はぁはぁ……」
いつもの、おちゃらけた健太じゃない事が、分かってきた。
なんで、と聞くと、息を整えて落ち着いた声で言った。
「落ち着いて、聞けよ……。」
心拍数が、徐々に上がっていく。
「達也から、歩を殺した…って連絡がはいった。」
心臓が、大きく、脈打った。心臓が、痛い。
え…?どうゆう……
混乱して、健太の声が頭まで入ってこない。心臓がドクドクと、痛い。
「真奈!真奈!ちゃんと聞け!歩ちゃんは、達也と達也の家だ。俺は今向かってる。真奈も来れるか?!」
なんて答えたか、分からない。
気付いたら、電話はきれていて、代わりに、歩の携帯に電話してた。
プルルルル、プルルルル……
でて……でて、歩……
プルルルル、プルルルル……
私の願い虚しく、機械音だけが、何度も何度も、繰り返された……………。