「見ろ見ろ!おそろいなんだぜぃ〜。」


真奈とおそろいで買った、シルバーのブレスレットを、達也に見せびらかした。


いいね、と微笑む達也は、2年で同じクラスになって仲良くなった奴で、あんまり騒いだりしない性格。俺には無いものを持った男だ。

今日は、親があんまりいないためにたまり場となってる達也の家で、二人で飲み明かしてる。


ちゃぶ台の上には、チューハイ、ビール、チョコ……

達也はチューハイ片手に、美味しそうにスティックのチョコを頬張っている。


「よくそんなの食えるなぁ〜俺、お菓子ダメなんだよね。」

ベッドを覆う、青い布団の上に、ブレスレットを眺めながら横になった。

傘のついた照明が反射して、キラリと光る。


「達也は、好きな子とかいねぇの?」


俺の唐突な問いに、達也はいないいない、と手の平をふって、新たにビールの缶を開けた。


「俺が紹介してやろっか!1組の子で、歩ちゃんって言うんだけど、面白い子で………」


「いいよ、俺そうゆう子は、もう作らないんだ。」

俺の言葉をはっきりと遮って、ビールを、ぐいっと飲んだ。


「何それ何それ、トラウマ持ちってやつ?詳しく聞かせろよ!」

面白い事を聞けると思って、ベッドから起き上がり達也の前に座ったが、達也は話そうとしない。俺を無視して、チョコを食べ続ける。


こいつ……ほんと、自分の話ししねぇんだよな……。

何でもベラベラしゃべる俺にとっては、理解できん!


「……まぁ、まぁ飲めって!!」


こうなったら、酔わせてしゃべらせてやる。


ここから、酒に強い達也と、トラウマ話がどうしても聞きたい、酒が弱い俺との、根気くらべになった。




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