掌
ニカッと笑うアルバムの中の子を見つめながら、達也は思い出話しをした。
アルコールのせいだろうか
達也の、うっとりとした優しい目つきの中にも、暗い何かが漂っていた。
元々、女友達があまりいなかったから、
女の子と二人で一緒に帰ったり、遊びに行ったり…全てが初めてで、達也は戸惑いがあったらしい。
でも
経験豊富な彼女がいつもリードしてくれて、二人はうまくいっているように周りには見えていたそうだ。
「でも俺は、だんだん、純粋に幸せだとは言えなくなったんだよね…。」
達也がぽつりと言う。