掌
真っ赤な顔で、達也に大きく手をふるあたし。
達也も真っ赤な顔で、あたしに小さく手をふりながら、あたしと反対側のホームへ繋がる階段を登っていった。
電車の方向が違うから、ここでバイバイだけど
あたしの手のひらと唇に、かすかに残る達也の温もりが、あたしの胸をいっぱいにしてくれる。
幸せだなぁ……。
思わず口からこぼれてしまうほどのあったかい気持ちが、あたしを支配してて……
あたしと達也の背後から、迫ってくる暗い暗い闇に
気付く事はできなかった。
誰よりも早く気付いたのは
あたしの親友だった。