掌
「……なにそれっ!叩かれたの?!大丈夫なの?!」
真奈美は、机を挟んで上半身を前のめりにし、慌ててあたしの頬をまじまじと触った。
「大丈夫大丈夫!弱かったし…」
それに
達也は、すぐにごめんごめん、って泣きじゃくるあたしを抱きしめてくれた。
それだけで、ほっぺの痛みなんてどっかいっちゃったよ。
「だから大丈夫だよ。今日も一緒に帰るし、明日になれば元気でるからさ!心配かけてごめんね。」
「ならいいけど……またなんかあったら言ってよ??」
「うん、ありがと!真奈美!」
その時のあたしは
ケンカなんて、付き合ってたら当たり前の事だし
達也が好きすぎて、幸せで、このケンカなんてすぐに忘れてしまった。
けど、真奈美だけは違った。
優しくて、小さな事にもすぐ気付く真奈美は
すでに何か……
不安を抱いていた。