バシッ



「やっ…」


達也の大きな掌が、あたしの腕に振りおろされる。


「…いたいよぉ…」


腕がじんじんとして


涙が溢れる。



「あっ…」



そうなると、いつも達也は急に悲しい顔になって、しゃがみこんだあたしに近づき



「ごめん歩…かっとなるとつい……ごめんな、ごめん。」



あたしの赤くなった腕を、掌でさすって


あたしの頬をつたう涙を、ふいてくれる。




「…ううん…大丈夫…。」



あたしは微笑む。



青い布団のベッドに腰掛け、達也はぎゅっ、と抱きしめてくれる。



いつもの事。



あたし達のケンカは、いつもこんな感じだ。



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