掌
体育館に着くと、クラスのみんなは楽しそうにバドミントンをしている。
「ごめん先生ーっ!」
「ごめんなさーい!」
息を切らしながら体育館に飛び込み、笑顔で謝ったら、軽く頭をこずかれた。
「何してんだよ!ったく…早くコート入ってやれ!」
怒り口調でも呆れ顔の先生。
体育は着替えがあるから遅刻者多くて、慣れっこなのかな?
「でもコート満員だよー。」
遅刻者のためにコートを空けておくなんて、バドミントンが好きな女子のみんながする訳がない。
「じゃあ男子の方空いてるから、そっちでやってこい!」
「ふぁーい。」
気の抜けた返事を二人仲良くしてラケットを持ち、男子がうじゃうじゃいる方へ歩きだした。
体育は1組2組が合同で、男女共に行う。
でも、同じ競技を同じ体育館でやっていても、自然と女子は奥、男子は入り口側、というように体育館を二分割して別れてやっている。
そして、あたし達は入り口側に歩いていく。
しかも2組の塊の方に。
2組を嫌がる真奈美にいいじゃん、とか言いながら引っ張っていく。
だって2組には…イヒヒ。
「健太くーん!」
「おー歩ちゃんに真奈ぁ!」
真奈美の、愛しの彼がいるからねっイヒッ!
「お前ら何遅刻してんのー。必死こいて走ってきてんの見ちゃったし。」
健太君と真奈美とあたしは、1年の時同じクラスで、まぁまぁ仲が良かった。
そして、気付けば二人が付き合ってて……
実際、仲間はずれのようで少し寂しかったけど、嬉しさの方が勝る。
背が高くて、黄色っぽい茶髪からのぞく耳にはピアスが光る健太君は、ヤンキーちっく。
だけど、顔はあどけなくて美少年系で…そのギャップが女心をくすぐってくすぐって…
ぶっちゃけ結構モテる。
でも、真奈美も黒髪のゆるパーマが似合う、綺麗な顔立ち。
まぁ要するに、お似合いカップルって、誰もが認めてるわけだ!
そんなお似合いカップルを見るのが、あたしは好き。
なんか保護者みたいな?
見守る感じ。