ニコニコと二人を見てたら、健太君が唐突に


「なぁなぁ!ダブルスやろーぜ!」


ラケットで羽根を打つ仕草をしながら、楽しそうな事を提案した。


「やるやるっ!」


「おーい達也!いいよなぁ?」


健太君は、私たちとネットを境にして反対側にいる、今まで自分が羽根を打ち合っていた男子に話し掛けた。


「いーよ。」


ネットをくぐりこっちにやってきたのは


池内君。


隣のクラスだから廊下でよく見かけるけど、話した事なんて一度もないよ…。


人見知りのあたしは一気に硬直する。


なのに自然と………



真奈美・健太VSあたし・池内
の戦いになった。


「どーせならジュース賭けて真剣勝負しようぜ!!」


たがが体育、されど体育。

健太君は嬉しそうに提案する。


なんで男子って、そんなに賭け事が好きなんだろう??


サーブのじゃんけんが済み、見事サーブ権を手に入れたあたしに向かって

「よろしくねぇ」


池内君は、たれ目気味の細い目を一層細くしてあたしに微笑んでくれた。

「あ…うん!」


その優しい笑顔に、緊張が少し解ける。


「いくよー」


「っしゃー!こい!!」

やる気満々の健太君が少し怖い……。


パシッビシーッ!!


瞬殺…あたしのサーブ瞬殺……。


軽くへこむあたしに気付いたのか……


「田辺さんドンマイだよ!」


池内君はまた目を細めて笑ってくれた。


「んっあっうん!!」


名前……知ってたんだ……。




久しぶりに、胸が一回ドキンと鳴った。



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