掌
キーンコーン
「くぁ〜!」
やっと今日最後の授業が終わって、大きなあくびがでた。
「でっけぇあくび。」
ひゃひゃひゃと笑いながら、前の席の小川君が振り向いてきた。
「おっと。」
急いで口をおさえる。
「池内の前でも、そんなあくびしてんの?」
「してませーん。」
机の上の教科書を鞄にしまいながら、小川君に憎たらしく返事する。
「お前らほんっと仲いいもんな〜。」
小川君は、少し呆れ顔。
「ラブラブですからぁ!」
そんな顔気にせず、あたしは満面の笑みで返す。
「ごっそーさん。」
あたしと達也の仲良しさは、同学年の間で軽く有名になっていた。
あたしはそれが恥ずかしくもあり、嬉しくもあった。
いや、嬉しいほうが大きいかな。