掌
そして…………
「20対13〜俺と真奈の勝ちぃ〜」
「いえ〜い」
ネットの向こうではしゃぐ二人は、ハイタッチをして勝利を喜んでいる。
いつもはニコニコ見守る二人だが
今は恨めしい。
「ごめんね池内君……足引っ張っちゃった…。」
実際にスマッシュを決めまくる池内君とは対称に、あたしは転ける、すかす、ぶつかる……
……最低だ……。
「全然大丈夫だって!一生懸命で良かった!!」
ドキン
何が良いのかは分からないけど、池内君の笑顔にまた心臓が鳴った。
「じゃあ、ジュース帰りに買ってなぁ!!」
健太君の言葉と共に、先生の笛の音が体育館に響く。
あたしと真奈美は女子の塊に戻っていく。
男子二人から離れた瞬間、真奈が弾むような声で囁いた。
「池内君といい感じだったね!」
思いもよらない真奈美の発言に、あからさまに動揺してしまうあたし。
「べ、別にいい感じなんかじゃなかったよ!」
「あれぇ?顔赤くなぁい??」
ニヤニヤと真奈美が肘で突く。
「やめてよっもう!!」
ちゃかす真奈美に怒るが
池内君に、私の胸が高鳴ったのは事実。
池内君……かぁ……
なぜか火照る頬を
体育館に吹き込む5月の風が、優しく撫でた。