掌
第六章 夏休み。
「最近あっちぃなあ〜。」
シャツを第四ボタンくらいまで開けて、ノートをぱたぱたとうちわ代わりにする健太君。
「健太だらしないぞ〜!」
呆れたように笑いながら、情報誌をめくる真奈美。
「あっ、このチョコケーキうまそう。」
雑誌に載ってる、有名パティシエのページを指差す達也。
「どれ?うわヤバい〜!!」
達也の指差したページを見て、興奮するあたし。
今四人は、みんなで夏休みにどこに遊び行くか計画中。
昼放課に、窓側のあたしの席に三人が集合してきた。
窓側だからって、涼しいとは限らないのに…むしろ、セミの鳴き声と、夏の日差しをもろに感じる。
でも、たまに入ってくる生暖かい風が、クリーム色のカーテンを揺らす。
夏の到来を直に感じる事ができる、あたしの席。
そして、しっかり者の真奈美が買ってきた情報雑誌は
祭り!花火!海!プール!山!BBQ!
楽しそうな事がいっぱい載っててワクワクする。
しかもなんたって今年の夏は……
彼氏がいる♪
達也といっぱい遊ぶんだ〜。