平安異聞録-お姫様も楽じゃない-



「いや、そういう事ではない。…お前に婚儀の話があがったのだ。」








「婚儀ぃ!?」



「それはまた何かのご冗談で…?」



父が静かに首を横に振る。


嘘でしょう?



だってアタシはまだ十六歳よ?後二月で十七歳になるけれど…



アタシの考えていることが分かったのか、父はそれを否定する。



「今の時代おぬしの歳で結婚はおろか、成人もしていないのはおぬしぐらいだろうが。」



うぅ"〜



「アタシはまだ結婚なんてする気はまったくございませんっ!!相手の方にもその旨お伝えください。では失礼します!!」



一気に言い終え、部屋を出ていこうとするアタシを父があわてて止める。



「待ちなさい聖凪!!話はまだすんでいない。」



「…まだですか?」



仕方なくもとの場所に戻り、父を見る。



「あぁ、まだ話はすんでいない。その婚儀の相手が参議殿のご子息なのだ。」



また深く溜め息をつき、頭をおさえる父。その様な姿を見るのは久しぶりだ。



やはり、長女の結婚はたとえ妹がいようと男親にとっては辛いものなのだろうか?



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