平安異聞録-お姫様も楽じゃない-
貴族の姫?
それが何だというのかしら?
アタシはそんな肩書きになんてく魅力が感じられません。いっそのこと男に生まれたかった。
くる日もくる日も、琴の手習い、書き物の手習い、縫い物の手習い、詩の手習い。
〜っ!!
息が詰まるでしょうっ!!
息抜きには、貝合わせに香を焚くこと、囲碁に、絵巻物、雛遊び。
そんなことばっかりじゃ、体が鈍ってしまうじゃない。
この期時世、殿方に好まれる条件といえば綺麗に伸びた真っすぐな黒髪に愛嬌、頭も切れなければならない。そして、最も器量が必要。
もちろん、身分も大切。
綺麗な髪と器量にはアタシも賛成。だけれども、家柄なんて何の関係もないじゃない。