そこはかな秘密
「あーうん、わかるよ。他にはいないかなぁ? 」
年下なんて例外。同い年の元彼にだって手を焼くのに、年下だったりしたらどれだけ甘やかさないといけないんだ。
私、年上がいい。
『たくさん甘やかしてあげたい』
急に思い出して恥ずかしくなる。あんなこと言えるだけのイケメンならモテるだろうに、なんで私なんだろう?
急に照れた私に眉をひそめた猪野ちゃんは、大丈夫ですかぁと聞いてくる。
「うん他にいないかな、最近移動になったとかそんな人」
「さあ……そういえば、夜のオフィスの噂話に、イケメンの幽霊が出るってありましたよー」
「幽霊? 」
「そうなんです! あの人誰だろうって追いかけていくと、ふって消えてしまうそうですよ」
そんな……
でも、幽霊は家に送ってくれないから。