そこはかな秘密


考えてこんでいた昌也が顔をあげると、真剣な表情をして必死に言ってきた。


「オマエと居ると居心地が良かったなのは、オマエがきちんと部屋を整えてくれたり、食事の世話をしてくれたからだって、やっとわかったんだ」


「……でも、もうダメだよ」


私はもう今までのあたしじゃない。


裏切られる辛さを知って、昌也のことを信じられなくなっている。


「もしよりを戻しても、また浮気されるかもってずっと思う。昌也はあたしじゃなくてもいいんだよ。だからあたしも、昌也じゃなくていい」


「彼女の気持ちがわかったなら、もう出ていってください。不審者として通報されたいなら別ですが」


さりげなく私達の間に入って、私を背中に庇ってくれる。


この人は、優しい。


その広い背中を見ていたら、胸がいっぱいになった。
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